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  遺留分減殺請求権者とは、遺留分減殺請求権を有する者(遺留分減殺請求権を行使できる者)のことであり、遺留分権利者及びその承継人がこれに該当します。

 

1 遺留分権利者(民1028条)

  兄弟姉妹を除く法定相続人であり、具体的には、配偶者、直系卑属(子、代襲相続の場合の孫など)、直系尊属がこれに該当します。

  したがいまして、兄弟姉妹には遺留分減殺請求権はありません。 

 

2 遺留分権利者の承継人(民1031条)

  遺留分権利者の承継人には、遺留分権利者の相続人、包括受遺者、相続分の譲受人などの包括承継人が含まれます。

  また、遺留分減殺請求権には譲渡性が認められるため、遺留分権利者から遺留分減殺請求権を譲り受けた者、すなわち、遺留分減殺請求権の特定承継人もこれに含まれます。

 

3 遺留分権利者の債権者

  遺留分権利者の債権者は、遺留分減殺請求権を代位行使すること(=遺留分権利者の代わりに行使すること)ができるでしょうか。

  この点に関し、最判H13.11.22は、「遺留分減殺請求権は、遺留分権利者がこれを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したものと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることはできない。」と判示しています。

 

4 被相続人の債権者

  被相続人の債権者は、相続により被相続人の債務を承継した遺留分権利者に代位して、遺留分減殺請求権を行使することができるでしょうか。

  上述の最高裁判例が遺留分減殺請求権の行使上の一身専属性を根拠に代位行使を否定していることからすれば、遺留分権利者の債権者による代位行使と同様に否定すべきと考えます。

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1 受遺者、受贈者、「相続させる」旨の遺言の受益者及びこれらの包括承継人

  減殺の対象となる遺贈・贈与の受遺者(遺贈を受けた者)・受贈者(贈与を受けた者)、「相続させる」旨の遺言の受益者(以下、これらの者をまとめて「受遺者等」といいます。)及びこれらの者の包括承継人(相続人など)が遺留分減殺請求の相手方となります。

 

2 受贈者等からの譲受人

(1) 受遺者等から遺留分減殺請求の目的財産を譲り受けた特定承継人については、譲り受けの  時において「遺留分権利者に損害を与えることを知っていた」(=悪意)ときに限り、遺留分減殺請求の相手方となります(民1040条1項但書き/同条項の遺贈への準用について最判S57.3.4)。

(2) 「悪意」については、民1030条と同義と解されています。

   すなわち、客観的に遺留分権利者に損害を加えるべき事実関係の認識(加害の認識)があれば足り、加害の意思までは不要です。

   また、どのような場合に損害を加えるべき事実関係の認識があると言えるかについては、「贈与財産の価格が残存財産の価格を超えることを知っていた事実のみならず、将来において、被相続人の財産に何らの変動がないこと、少なくともその増加のないことの予見」が必要(大判S11.6.17)と解されています。

 

3 転得者

  受遺者等から遺留分減殺請求の目的財産を譲り受けた譲受人から、さらに第三者(=転得者)に譲渡された場合、譲受人及び転得者ともに悪意の場合に限り、転得者に対しても遺留分減殺請求をすることができる(=現物の返還を請求できる)と考えます。

  これに対し、転得者が善意の場合、受遺者等あるいは譲受人に対して、価格の弁償を請求できるにとどまると考えます。

 

4 受遺者等に対して減殺請求をした後の譲受人

  受遺者等に対して遺留分減殺請求をした後に、受遺者等から遺贈等の目的物を譲り受けた者については、民1040条1項但書きの適用はなく、これらの者に対して遺留分減殺請求をすることはできないと考えます(遺贈につき最判S35.7.19)。

  この場合、遺留分減殺請求者と遺留分減殺請求後の譲受人とは対抗関係に立つことになります。

 

5 遺言執行者

  特定遺贈(=「不動産Aを○○に遺贈する」のように、遺贈の目的物を具体的に特定して行う遺贈)の場合は受遺者又はその相続人が遺留分減殺請求の相手方となりますが、包括遺贈(=「遺産の○分の1を○○に遺贈する」のように、遺贈の目的物を具体的に特定せずに一定の割合で示して行う遺贈)の場合、遺言執行者が相手方となるとするのが判例です(大判S13.2.26))

  ただし、遺言執行がすべて終了した後の遺贈の目的物に関する訴訟については、受遺者を相手としなければならない(最判S51.7.19)ため、遺言執行終了後の遺留分減殺請求権の行使は受遺者に対して行うことになります。

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