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1 生前贈与、死因贈与、遺贈

  遺贈→死因贈与→生前贈与の順で減殺すべきと考えます(東京高判H12.3.8)。

  すなわち、遺贈を減殺してもなお遺留分侵害額の回復ができない場合に初めて、死因贈与を減殺の対象とすることができ、遺贈・死因贈与を減殺してもなお遺留分侵害額の回復ができない場合に初めて、生前贈与を減殺の対象とすることができます。

2  「相続させる」旨の遺言、相続分の指定、遺産分割方法の指定

  遺贈と同順位で減殺の対象になると考えます。

  この点、「相続させる」旨の遺言について、最判H10.2.26は、「相続人に対する遺贈が遺留分減殺の対象となる場合においては、右遺贈の目的の価額のうち受遺者の遺留分額を超える部分のみが、民法1034条にいう目的の価額に当たるものというべきである。けだし、右の場合には受遺者も遺留分を有するものであるところ、遺贈の全額が減殺の対象となるものとすると減殺を受けた受遺者の遺留分が侵害されることが起こり得るが、このような結果は遺留分制度の趣旨に反すると考えられるからである。そして、特定の遺産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言による当該遺産の相続が遺留分減殺の対象となる場合においても、以上と同様に解すべきである。」と判示しています。

死因贈与複数.png

1 贈与契約の先後で判断され、新しい贈与から順に減殺することになります(民法1035条)。

2 不動産の贈与についても、登記時ではなく契約時を基準として先後関係を決することになります。

3 同日付の複数の贈与は、反証がない限り、同時に行われたものと推定され、民1034条の類推適用により、按分して減殺すると解されています。

4 受贈者の無資力(お金がない)による損失は遺留分権者の負担とされている(民法1037条)ため、減殺を受けた受贈者が無資力であるからといって、その前の贈与を減殺することはできません

遺贈複数.png

1 遺贈が複数のときは、目的物の価格の割合に応じて減殺することになりますが、遺贈者が遺言に別段の意思を表示していたときはそれに従うことになります(民法1034条)。

 例えば、遺留分侵害額が1000万円であり、2000万円のA不動産と6000万円のB不動産が遺贈されていたという場合、

<A不動産について>
1000万円×2000万円/(2000万円+6000万円)=250万円


<B不動産について>
1000万円×6000万円/(2000万円+6000万円)=750万円


の減殺を請求することになります。


2 上記1に対し、共同相続人の一部が遺贈を受けた場合遺贈の目的物の価格のうち、受遺者たる相続人の遺留分をこえる部分のみが減殺の対象となります(最判H10.2.26)。
  そのため、遺贈を受けた相続人が複数いる場合、遺留分侵害額を各受遺者の遺留分超過額の割合に応じて減殺することとなります。

同一人.png

  遺留分権利者に減殺の対象とする財産の選択権は認められず、目的物の価格の割合に応じて按分して減殺されるというのが多数説です(判タ677号・194頁以下参照)。

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  例えば、被相続人には3名の相続人甲・乙・丙(いずれも子)がいたところ、まず、Aに対して1000万円を贈与し、その後、Bに対して2000万円を贈与し、その後、Cに対して600万円を遺贈した結果、遺産が存在しないケースを想定して下さい。なお、ABに対する贈与はいずれも相続開始前1年以内になされたものとします。

  この場合、甲乙丙の遺留分侵害額はいずれも600万円となり、仮に甲のみしか遺留分減殺請求を行わなければ特に問題は生じませんが、甲乙丙の内、2名以上が遺留分減殺請求権を行使した場合に、甲乙丙の誰が、ABCの誰に対して、いくらの限度で減殺請求できるかが問題となり、これが、遺留分減殺請求の競合と言われる問題です。

  この点については、争いがあり、実務的にも取扱いが固まっていないため、以下では、学説だけ紹介させていただきます。

(1) 早い者勝ちとする考え方

  この考え方によると、仮に甲が最初にCに対して遺留分減殺請求権を行使した場合、乙・丙はCに対して遺留分減殺請求権を行使することができなくなり(甲の侵害額は600万円で、Cの受遺額も600万円であるため)、Bに対して遺留分減殺請求を行使せざるを得なくなります。

(2) 遺留分権利者間の調整を図る考え方

   これには以下の2つの考え方があります。

① 現実に遺留分減殺請求をした者の間で、遺留分に応じて按分するという考え方

  上記ケースで、仮に甲と乙が現実に遺留分減殺請求をした場合、甲乙はCに対しそれぞれ300万円の限度で減殺でき、残りについてはBに対して減殺することになります。

② 各遺留分権利者がそれぞれ法定の割合で減殺請求できるとする考え方

  上記のケースで言えば、甲乙丙が減殺できる全体としての遺留分は、Cに対して600万円、Bに対して1200万円であるため、各自はその3分の1ずつ、すなわち、甲乙丙は各自、Cに対しては200万円、Bに対しては400万円を減殺できることになります。

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