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エミナス法律事務所

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  ・ 条件付権利、存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選定した鑑定人の評価に従って算入されます(1029条2項)。
  ・ 遺贈・「相続させる」旨の遺言の対象となっている財産も含まれます。
  ・ 生命保険金については、被相続人が受取人と指定されている場合を除き、遺産には含まれないと考えるため、相続開始時の積極財産にはあたりません。
  ・ 死亡退職金・遺族年金についても、基本的には遺産には含まれないと考えるため、相続開始時の積極財産にはあたりません。

  贈与財産の範囲については、生前贈与、死因贈与、特別受益に該当する贈与(=相続人に対する生前贈与)、生命保険金の取扱い、不相当な対価による有償行為が問題となります。

1 原則

 ・ 相続開始前の1年間になされた贈与に限定されます

 ・ 相続開始前の1年間になされたか否かは、贈与契約の履行時ではなく、贈与契約時を基準とします。

2 例外

  「(贈与の)当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したとき」は、相続開始前の1年以上前の贈与も算入されます。

 (1) 「損害を加えることを知って」の意味

    ・ 客観的に遺留分権利者に損害を加えるべき事実関係の認識(加害の認識)があれば足り、加害の意思までは不

     要です。

    ・ どのような場合に損害を加えるべき事実関係の認識があると言えるかについては、「贈与財産の価格が残存財産
     の価格を超えることを知っていた事実のみならず、将来において、被相続人の財産に何らの変動がないこと、少なく
     ともその増加のないことの予見」が必要とされています(大判S11.6.17)。

 (2) 加害の認識の立証責任

     加害の認識については、遺留分減殺請求権者が立証する必要があります(大判T10.11.29)。

 (3) 生命保険金受取人への指定・変更行為

     この点に関し、最判H14.11.5は、「自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更す
   る行為は,民法1031条に規定する遺贈又は贈与に当たるものではなく,これに準ずるものということもできないと解す
   るのが相当である。」と判示しています。

  死因贈与とは、贈与者の死亡を停止条件とする贈与のことです。

  死因贈与の取扱いについては争いがありますが、生前贈与と同様に解すべきと考えます。

  すなわち、原則として、相続開始前の1年間になされた死因贈与に限定されますが、死因贈与の当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したとき」は、相続開始前の1年以上前の死因贈与も算入されると考えます。

1 共同相続人に対する贈与で特別受益に該当するものは、1年以上前のものであってもすべて算入されます(民法1044条、903条)。

2 持戻免除の意思表示との関係について

  被相続人から特別受益者に対し持戻免除の意思表示があった場合、特別受益財産は遺留分算定の基礎となる財産に含まれるかについては争いがあります。

  当然算入説と制限的算入説がありますが、持戻免除の意思表示があった場合でも、特別受益財産は遺留分算定の基礎となる財産に含まれる(当然算入説)と考えます(大阪高判H11.6.8参照)。

3 相続放棄がある場合

  多額の特別受益たる贈与を受けた推定相続人がいる場合でも、受贈者たる推定相続人が相続放棄した場合、受贈者たる推定相続人は「初めから相続人とならなかったとみな」される(民法939条)ため、相続開始前の1年間になされた贈与に限り、遺留分算定の基礎となる財産に含まれることになります。

1 特別受益該当性

  基本的に生命保険金は遺産に含まれないと考えますが、生命保険金を相続人が取得する場合、これを特別受益として取り扱い、遺留分算定の基礎となる財産に含めるべきかについては争いがあります。

  この点に関し、最判H16.10.29は、以下のとおり判示し、特段の事情のない限り、特別受益には該当しないと判断しています。

  「養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又はこれを行使して取得した死亡保険金は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないと解するのが相当である。もっとも、上記死亡保険金請求権の取得のための費用である保険料は、被相続人が生前保険者に支払ったものであり、保険契約者である被相続人の死亡により保険金受取人である相続人に死亡保険金請求権が発生することなどにかんがみると、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相当である。上記特段の事情の有無については、保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断すべきである。」


2 特別受益額の算定方法

  生命保険金が特別受益として遺留分算定の基礎となる財産に含まれるとした場合、特別受益金額の算定をどのように考えるべきかが問題となりますが、①被相続人が支払った保険料額とする説、②受領した保険金額とする説、③契約者死亡時の解約返戻金額とする説などに分かれています。

・ 売買のような有償行為(=対価を伴う行為)であっても、支払った対価が不相当な場合(→有り体に言えば、非常に安い値段で売ってもらった場合です。)で、かつ、「当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って」いた場合、遺留分の算定にあたっては贈与とみなされます(民法1039条)。

・ 売買のような有償契約に限らず、対価を支払ってなされた債務免除のような単独行為も該当します。

・ 不相当な対価かどうかは、行為時点における取引価格を基準として判断されます。

・ 遺留分算定の基礎となる財産に算入されるのは、行為時点における取引価格から対価を差し引いた残額と考えます。

・ 「損害を加えることを知って」の意味については、民法1030条と同義と解されているため、上記の生前贈与・第2項(1)をご参照ください。

1 主債務

 ・ 控除される債務には、私法上の債務はもちろん、公租公課(税金等)、罰金など公法上の債務も含まれます

 ・ 債務がすでに相続人により弁済されている場合も、同様に控除します(最判H8.11.26)。

2 保証債務(連帯保証債務を含む)

  保証債務を控除すべきかについては争いがありますが、東京高判H8.11.7は、以下のとおり判示し、特段の事情がない限り、保証債務は控除されないと判断しています。

  「保証債務(連帯保証債務を含む)は、保証人において将来現実にその債務を履行するか否か不確実であるばかりでなく、保証人が複数存在する場合もあり、その場合は履行の額も主たる債務の額と同額であるとは限らず、仮に将来その債務を履行した場合であっても、その履行よる出捐は、法律上は主たる債務者に対する求償権の行使によって返還を受けうるものであるから、主たる債務者が弁済不能の状態にあるため保証人がその債務を履行しなければならず、かつ、その履行による出捐を主たる債務者に求償しても返還を受けられる見込みがないような特段の事情が存在する場合でない限り、民法1029条所定の「債務」に含まれないものと解するのが相当である。」


3 相続財産に関する費用

  遺言執行費用、相続財産の管理費用等の相続財産に関する費用については、控除すべき相続債務にあたらないというのが通説です。

4 相続税

  相続税は控除すべき相続債務にはあたりません

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